「ゆっくり、いっしょ、わがまま」
「ゆっくり」であること
お年寄りはゆっくりです。私たちは、お年寄りの「我がまま」な生活を、ご自分のペースでゆっくり過ごしていただけるよう心配りをいたします。
食事時間はその方のペースに合わせ、長い方は1時間半近く、お風呂も1時間のうえ入っていらっしゃる方もあります。お年寄りの生活にかかわる部分はとにかくゆっくり。「早くしてください」と職員がせかすことはありません。
だから、私たち職員の「仕事の効率」はよくありません。
「いっしょ」であること
誰かがいっしょならば、楽しいことは倍にもなり、悲しいことや心配なことは半分になると思いますし、何よりも安心です。このように、お年寄りに安心して暮らしていただくためには、できる限り私たちが一緒であることを感じていただけるような、一体感のある生活場面を創り出していきたいと考えています。だから食事もいっしょです。
「わがまま」にできること
お年寄りの生活をこちらの都合で一方的に決めたり、一律の時間で区切ることはできるだけ避け、お一人一人の生活ペースを大切にしています。
例として依田窪特別養護老人ホーム「ともしび」では、開設以来、小規模なケアが可能なユニットケア方式を取り入れています。今では一つのユニットに20名ほどのお年寄りがいらっしゃって、担当職員とともに小さな集団での生活を送っていただいています。
庭に出たり、昼寝をしたり、食事作りをしたりなど、ごく当たり前の「我が、まま」な生活を送っていただきたいと考えています。飲酒や喫煙、散歩なども、私たちがご本人の健康や安全をお守りしながら自由にしていただいております。
介護方針の決定
開設時の職員研修では、質の高い介護を行いたいということから、外部講師を招いて、実際に介護を受ける場面を想定しての障がい体験などを、3日間の合宿研修として実施しましたが、そのことから介護技術はもとより「待ってもらう」ことの大切さを私たち自身、身をもって感じることとなりました。そこで、お年寄りとのコミュニケーションは、私たちが「待つ」ことからはじめようと考え、「ゆっくり、一緒、わがまま」という介護方針を打ちたて、職員の都合や職場の都合による「私たちのペース」が優先しがちになることを常に戒めてきました。この合宿研修は、その後も新人職員研修という形で他施設の新人職員と共に行うなど、毎年のプログラムとなっております。 |